おはようございます!
屋台で鮎の塩焼きを販売していると、通行人からよく声をかけていただきます。
「見て、鮎の塩焼きを売ってる!」
「炭火焼きだ。おいしそう!」
若い方や外国人観光客が足を止め、焼いている様子を写真に撮ることも珍しくありません。
串に刺した鮎が炭火の上に並び、じっくり焼き上がっていく姿には、自然と人の目を引きつける力があります。
その一方で、
「おいしそうだけど、どうやって食べるの?」
「骨は大丈夫?」
「手が汚れそう……」
という声も聞こえてきます。
実際、鮎の塩焼きは決して食べやすい商品ではありません(笑)
しかし、食べにくいからといって、単純に食べやすく改良すればよいのでしょうか。
今回は、鮎の塩焼きの販売を通して感じた、自社商品のストロングポイントを正しく把握する大切さについてお話しします。
鮎の塩焼きは「味」だけを売っているのではない
もちろん、鮎の塩焼きは味が魅力の商品です。
炭火で焼くと皮は香ばしくなり、身はほくほくに仕上がります。焼き塩との相性もよく、鮎が好きな方は独特の苦みがある腸(はらわた)まで味わいます。
しかし、屋台で鮎の塩焼きを買うお客さんは、味だけにお金を払っているわけではないと私は考えています。
炭火の香りを感じる。
串に刺さった鮎を手に持つ。
豪快にかぶりつく。
家族や友人と「食べにくいね」と笑い合う。
こうした時間を含めて、鮎の塩焼きという商品なのです。
つまり、お客さんが買っているのは食べ物であると同時に、「炭火で焼いた鮎にかぶりつく体験」でもあります。
写真を撮る人が多いことも、その証拠でしょう。
ただ空腹を満たすだけなら、もっと安くて食べやすい商品はたくさんあります。それでも足を止めてもらえるのは、見た目、香り、焼いている光景に、日常とは少し違う特別感があるからです。
「食べにくい」という弱点を消せば売れるのか
鮎の塩焼きには、確かに弱点があります。
手や口が汚れやすい。
骨が気になる。
食べ方が分かりにくい。
服を汚したくないときには選びづらい。
では、この弱点をなくすために、身を細かくほぐして皿に盛り、箸を添えて販売したらどうでしょうか。
食べやすさは大きく改善します。
しかし、串に刺さった鮎の姿や炭火焼きの迫力は失われます。通行人が足を止めて写真を撮りたくなるような、屋台ならではの魅力も弱くなるかもしれません。
商品の弱点を改善したつもりが、同時に最大の強みまで消してしまうのです。
鮎の塩焼きは、ある程度食べにくいからこそ価値があります。
もちろん、食べにくければ食べにくいほどよい、という話ではありません。食べ方を分かりやすく案内したり、おしぼりや袋を用意したりする工夫は必要です。
ただし、商品の中心にある体験まで、便利さと引き換えに手放してはいけないと思います。
自社商品の強みを正しく説明できますか?
これは鮎の塩焼きに限った話ではありません。
どの会社や個人にも、得意なことと不得意なことがあります。
価格は高くても、品質に徹底的にこだわっている。
大量生産は難しくても、手作業だから細かな要望に対応できる。
商品自体は平凡でも、相談やアフターサービスの安心感がある。
納期では負けても、長期間使える耐久性がある。
すべての項目が満点の商品を作るのは簡単ではありません。
だからこそ営業マンは、自社の商品が何に優れ、どのようなお客さんに選ばれているのかを正しく理解する必要があります。
ここで重要なのは、自分たちが強みだと思っていることと、お客さんが魅力を感じていることが一致しているとは限らない点です。
商品の強みを知りたいなら、次のようなことを確認してみてください。
- お客さんは、どこを見て足を止めるのか
- 購入前に、どのような言葉を口にするのか
- なぜ競合商品ではなく、自社商品を選んだのか
- 改善すると、逆に失われてしまう魅力はないか
- 購入後、どの部分を人に話したくなるのか
強みは、社内の会議だけで考えるものではありません。
販売現場で聞こえる言葉やお客さんの行動にこそ、本当の答えが隠れています。
弱点を消すのではなく、別の選択肢で補う
一方で、「食べたいけれど食べにくそうだから買わない」というお客さんを取りこぼしているのも事実です。
浴衣やきれいな服を着ている。
移動しながら手軽に食べたい。
小さな子どもに食べさせたい。
骨や内臓が気になって手を出せない。
こうしたお客さんに対しては、従来の鮎の塩焼きを無理に変えるのではなく、別の商品で応える方法があります。
大切なのは、既存商品の魅力を守りながら、新しい選択肢を増やすことです。
現在、私も頭の中で新しい商品の構想を練っています。
試作品を作る。
実際に食べてもらう。
感想を聞いて改良する。
ネーミングやパッケージを考える。
原価を計算して価格を決める。
一度で正解にたどり着くとは限りません。
まずは小さく試し、お客さんの反応を見ながら改善していく。
まさにトライ&トライです。
まとめ|強みはお客さんの反応の中にある
今回は、鮎の塩焼きから学んだ「自社商品の強み」についてお話ししました。
鮎の塩焼きは食べにくい商品です。
しかし、串に刺さった鮎が炭火で焼かれ、その場で豪快にかぶりつく姿こそが、この商品の大きな魅力でもあります。
弱点をすべてなくそうとすると、その商品らしさや、お客さんが求めていた体験まで失うことがあります。
営業や商品開発に携わっている方は、ぜひ一度考えてみてください。
自社の商品は、なぜ選ばれているのか。
お客さんは、何に反応しているのか。
その弱点を直したとき、同時に失う強みはないか。
商品の本当の強みは、カタログのスペック表だけでは分かりません。
現場で足を止める人の表情や、購入するときに発する何気ないひと言の中にあります。
新商品が形になったら、このブログでも紹介できればと思います。
それではまた!
今日もお仕事、頑張りましょう!



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