今日は、最近読んだ一冊の本について書いてみたいと思います。
その本は、ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』です。
世界各国で読まれている本なので、タイトルを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
「死ぬときに資産をゼロにする本」と聞くと、貯金をすべて使い切ることを勧める、少し過激なマネー本のように思えます。
私も、読む前は資産形成について書かれた本だと思っていました。
しかし、実際に読んで強く残ったのは、投資のテクニックではありません。
お金は人生を豊かにするための手段であり、お金を増やすこと自体が人生の目的ではない。
そして、もう一つ。
お金は増やせても、過ぎた時間は取り戻せない。
今回は、私なりに受け取ったこの本のメッセージと、読み終えたあとに実際に取った行動についてお話しします。
この記事が、皆さんの「いつかやりたい」を少しでも動かすきっかけになればうれしいです。
『DIE WITH ZERO』が伝えるのは「浪費のすすめ」ではない
この本のタイトルだけを見ると、「貯金をせず、今のうちに全部使おう」という内容に感じるかもしれません。
しかし、私が受け取ったメッセージは違いました。
大切なのは、やみくもにお金を使うことではありません。
時間・健康・お金のバランスを考えながら、その年齢でしかできない経験に、適切なタイミングでお金を使うこと。
若いころには体力と時間があっても、お金が少ない。
働き盛りになるとお金は増えても、自由な時間が減る。
年齢を重ねると時間とお金に余裕ができても、体力の問題でできないことが増えていく。
だから、何もかも老後まで先送りするのではなく、「今の自分だからこそできること」に目を向ける必要があります。
たとえば、
- 子どもの成長を近くで見る
- 元気なうちに親と旅行する
- 体力が必要なスポーツや趣味に挑戦する
- 数年会っていない学生時代の友人に会う
こうした経験には、最適な時期があります。
お金が十分に貯まるまで待っていたら、そのときには一緒に行きたい相手や、自分の健康状態が変わっているかもしれません。
お金を残すことは「ただ働き」と同じなのか
本を読みながら、私はこんな計算をしてみました。
仮に1,000万円を残して人生を終えたとします。
時給2,000円で考えると、1,000万円を得るには5,000時間の労働が必要です。1日8時間働くなら、625日分になります。
2,000万円なら、単純計算で1,250日分です。
もちろん、これは税金や運用益、生活費、相続などを考慮していない、かなり乱暴な計算です。
家族に財産を残したい人もいれば、病気や介護に備えて十分な資金を持っておきたい人もいます。残ったお金が無駄だと、一律に決めつけることはできません。
それでも、この計算をすると一つの問いが浮かびます。
自分が長い時間をかけて得たお金を、自分や大切な人の人生を豊かにするために、きちんと使えているだろうか。
ただ口座の数字を増やすことだけが目標になっていないか。
使うべき時期まで、人生の楽しみを先送りしていないか。
この本は、そんなことを考えるきっかけを与えてくれました。
新NISAやiDeCoをやめる、という話ではない
私も新NISAやiDeCoを使って資産形成をしています。
将来の生活に備えることは大切です。iDeCoは老後のための資産形成を支える私的年金制度であり、新NISAも長期・積立・分散投資に活用できます。
私は、現在の自分から「老後を迎えた自分」へ仕送りをしているような感覚で積み立てています。
ただ、未来の自分に仕送りをすることだけを優先して、現在の自分や家族にしかできない経験をすべて我慢してよいのか。
ここは、とても難しいところです。
資産形成をするか、今を楽しむか。その二択ではありません。
必要なのは、将来に備えるお金と、今しかできないことに使うお金の両方を、自分の価値観に合わせて設計することだと思います。
株価が上がっているからと勢いだけで積立額を増やすのではなく、生活防衛資金や近い将来に必要なお金、今の暮らしとのバランスを一度考えてみる。
この記事は特定の投資判断を勧めるものではありませんが、『DIE WITH ZERO』は「何のためにお金を貯めているのか」を考え直す、よいきっかけになりました。
お金は増やせても、時間は増やせない
お金は、働いたり運用したりすることで増やせる可能性があります。
しかし、時間は増やせません。
年齢を重ねてから大きなお金を持っていても、若いころと同じ体力で、同じ経験ができるとは限りません。
子どもが小さい時間も、親が元気な時間も、友人と同じ悩みを語り合える時間も、ずっと続くわけではありません。
この本には、経験がその場限りで終わらず、あとから思い出すたびに喜びをもたらすという「思い出の配当」という考え方が出てきます。
旅行に行った時間は終わっても、そのときの景色や会話は残ります。
昔の仲間と過ごした一日は、その後も何度も思い出して笑えるかもしれません。
そう考えると、経験に使うお金は、ただ消えてなくなるお金ではありません。
人生の中に、あとから何度も受け取れるものを残す使い方でもあるのです。
本を読みながら、20年前の仲間の顔が浮かんだ
そんな内容を読みながら、ある人たちの顔が浮かびました。
それは、私が約20年前にアルバイトをしていた店の仲間たちです。
私が在籍していたのは3年ほどでしたが、接客のイロハをはじめ、多くのことを学びました。
ほかにも、ここでは書けないような濃い時間を過ごしました。
今でも、ときどきその店で働いている夢を見るくらいです(笑)。
あのころの仲間の多くは、すでに店を離れています。
結婚した人、子どもが生まれた人、県外で暮らしている人。それぞれが別の人生を歩んでいます。
以前は「またみんなで集まろうや」と口癖のように言っていました。
しかし、いつの間にか電話すらしなくなっていました。
『DIE WITH ZERO』を読み終え、すぐに電話した
本を読み終えた私は、元上司に電話しました。
「久しぶりやね。急にどうしたん?」
「ちょっと本を読んで、“やりたいことを先延ばしにするな”って言われた気がしたんで、電話しました。今度こそ集まりましょう」
相手は笑っていましたが、こう答えてくれました。
「そやね。今度こそ、本当に集まろうか」
もし実現すれば、みんなで集まるのはおそらく8年ぶりです。
その8年の中には、コロナ禍もありました。
しかし、人と会いやすい状況に戻ったあとも、私たちは集まりませんでした。
ただ漠然と、「会おうと思えば、いつでも会える」と先延ばしにしていただけです。
「いつか」が積み重なって、8年になった
8年という年月は、生まれた子どもが小学3年生になるほどの期間です。
新入社員だった若手も、職場では中堅と呼ばれるようになります。
そう考えると、8年は決して短くありません。
「いつか」
「そのうち」
そんな言葉が積もりに積もって、8年になりました。
この本を読んでも行動しなければ、10年、15年と過ぎていたかもしれません。
そして、誰かに会えなくなったあとで、「あのとき集まっておけばよかった」と後悔していたかもしれません。
まだ実際に集まれたわけではありません。
だから、電話をかけただけで満足せず、次は日程を決めるところまで進めなければいけません。
それでも、8年間止まっていた時間を動かす最初の一歩を踏み出せました。
行動するきっかけをくれた、この本に感謝しています。
「いつかやりたい」を予定に変える
昔、法事でお坊さんが話していた言葉を思い出しました。
「私たちは今日と同じように明日も生きられるなんて決まっていない。決まっているのは人はいつか死ぬということだけです」
当時も心に残りましたが、『DIE WITH ZERO』を読んだあとでは、以前より重く感じます。
とはいえ、いきなり大金を使ったり、仕事を辞めたりする必要はありません。
まずは小さな行動でよいと思います。
- 会いたい人を一人決めて、今日連絡する
- 「いつか行きたい場所」の候補日をカレンダーに入れる
- 親や子どもと、今年やりたいことを一つ話す
- 年代ごとに「その時期に経験したいこと」を書き出す
- 貯蓄だけでなく、経験に使う予算も毎月確保する
「いつか会おう」では、予定は決まりません。
「来月の第2土曜日はどう?」と日付を入れた瞬間に、願いは予定へ変わります。
まとめ|人生の目的は、資産額を最大にすることではない
今回の記事は、かなり個人的な内容になりました。
それでも、多くの人に思い当たることがあるのではないでしょうか。
将来が不安だからと、今の楽しみを後回しにし続けていないか。
体が元気なうちに楽しみたいスポーツや旅行はないか。
いつでも会えると思って、大切な人との関係を後回しにしていないか。
『DIE WITH ZERO』の冒頭では、冬に備えて働き続けるアリと、今を楽しむキリギリスの寓話が取り上げられます。
キリギリスのように備えを持たない生き方が正解、という話ではありません。
しかし、冬に備えて働き続けたアリは、いつ人生を楽しむのか。
その問いは、私たちにも向けられています。
将来への備えは大切です。
同時に、今しか会えない人、今しか見られない景色、今の体力だからできる経験も大切です。
お金を貯めることを目的にするのではなく、どんな人生を送りたいのかを先に考える。
そのうえで、お金をどう使い、どう残すかを決める。
それが、この本から私が受け取った一番大きなメッセージです。
皆さんが長い間、「いつかやりたい」と思ったままにしていることは何ですか?
その「いつか」を動かすために、今日できる小さな行動は何でしょうか。
私はまず、8年ぶりの再会を本当に実現させます。
ではまた今度!だんだんな!



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