皆さんには、「人生を変えた一冊」がありますか?
私にはあります。
それは、中学生のころに出会った『空想科学読本』です。
当時は、ただ「面白い科学の本」として夢中になって読んでいました。
しかし今振り返ると、この本との出会いが、私の考え方の土台をつくったと言っても過言ではありません。
そして、そのときに身についた「当たり前を疑い、理由を考える姿勢」は、大人になった今も、営業や商売の仕事に大きな影響を与えています。
今日は、一冊の本が中学生だった私に何を教え、その学びが現在の仕事にどうつながっているのかを書いてみたいと思います。
中学生の私にとって衝撃だった一冊
『空想科学読本』は、柳田理科雄さんによるベストセラーシリーズです。
最初の『空想科学読本』は1996年に刊行され、その後はシリーズ化されました。漫画版や児童向けシリーズ、さまざまな作品を扱った関連書籍もあるため、ご存じの人も多いのではないでしょうか。
この本では、アニメ・漫画・特撮の世界で当たり前のように描かれている設定を、現実の科学に当てはめて考えます。
たとえば、
- ゴジラは2万トン、ガメラは80トン。科学的に考えると、どちらの体重が適切なのか
- 巨大ヒーローが実際に巨大化したら、どれほどの時間やエネルギーが必要なのか
- 必殺技や特殊能力が現実に使われたら、周囲にどんな影響が起きるのか
このように、普通なら素通りする設定を大まじめに計算し、検証していきます。
小学生のころからゴジラがヒーローだった私は、ある日、本屋でゴジラが描かれた表紙を見つけ、すぐに手に取りました。
そして、その内容のばかばかしさと、科学の面白さに、すっかりはまってしまったのです。
アニメや漫画を見ながら、登場人物の身長や体重、移動速度に疑問を持つ子どもは、そう多くないと思います。
「体重1万トン」
「飛行速度マッハ3」
「身長100メートル」
普通なら、迫力を出すための設定として読み流してしまいます。
しかし、『空想科学読本』は、その数字を現実の世界に引っ張り出します。
どれほど重いのか。
どれほど速いのか。
その巨体が動けば、周囲で何が起きるのか。
ただ並んでいた数字が、急に「生きた数字」に変わりました。
私はこの本から科学の知識だけでなく、目の前の情報をそのまま受け入れず、「本当にそうだろうか」と問い直す面白さを教わったのです。
「結果には、そうなった背景がある」
中学生のころに芽生えた「なぜ?」と考える習慣は、体や心と同じように、少しずつ成長していきました。
そして私は、仕事の中でも「結果には、そうなった背景や条件がある」と考えるようになりました。
シンプルな話ですが、これが意外と奥深いのです。
たとえば、鮎の塩焼きが売れたとします。
味が良かったから売れたのか。
焼いている香りが人を呼んだのか。
売り場の位置が良かったのか。
天気や気温が影響したのか。
近くの店に行列ができ、その流れで人が集まったのか。
反対に、売れなかった場合にも、価格、見せ方、声かけ、客層、時間帯など、さまざまな可能性があります。
人は、売れなかったときには「なぜ売れなかったのか」と反省します。
しかし、同じくらい大切なのが、「なぜ売れたのか」を考えることです。
販売前に準備をしていたのだから、売れたのは当然だと思うかもしれません。
けれど、商売はそれほど単純ではありません。
自分たちの準備が良かったのかもしれないし、天候や人の流れなど、偶然の条件に助けられたのかもしれません。
だからこそ、売れたときも売れなかったときも、結果をそのまま流さないことが大切です。
「理由はこれだ」とすぐに決めつけるのではなく、いくつかの仮説を立て、数字やお客様の反応を見ながら確かめていく。
その積み重ねが、次の仕事の精度を高め、成功の再現性を上げていきます。
「なぜ?」と考える習慣は、毎日の仕事で鍛えられる
考える力は、誰かに「考えなさい」と言われただけで、突然身につくものではありません。
日ごろから、目の前の出来事を流さず、理由を探す訓練が必要です。
職場で「昔からこうやっている」と言われたら、一度アンテナを立ててみてください。
なぜ、この方法になったのか。
その理由は、今も通用しているのか。
時代や働く人が変わったのに、ルールだけが残っていないか。
もっと安全で、速く、分かりやすい方法はないか。
もちろん、昔から続く方法には、先輩たちが積み重ねてきた知恵が隠れていることもあります。
「古いから変える」「昔からあるから守る」と最初から結論を決めるのではありません。
まず目的を確認し、現在も効果があるかを考え、必要なら別の方法と比べてみる。
この姿勢が、惰性で仕事をしないための第一歩になります。
思考実験:「事務職の制服」は本当に必要か
ここで、私が最近考えている思考実験を紹介します。
私の会社には、事務の仕事を担当する人が3人います。皆さん、会社から支給された制服を着て仕事をしています。
ここで質問です。
事務職の制服は、本当に必要でしょうか?
この問いを持ったのは、「事務職だから制服を着るのは当たり前」という、目に見えない前提があるように感じたからです。
もちろん、制服には理由があるかもしれません。
- 来客に社員だと分かりやすい
- 服装について毎朝悩まずに済む
- 組織として統一感が出る
- 仕事と私生活の気持ちを切り替えやすい
- 業務に適した服装を会社が用意できる
一方、私服勤務にも考えられる利点があります。
- 制服の購入・管理費を減らせる
- 洗濯や着替えの負担が変わる
- 季節や体調に合わせて調整しやすい
- 採用や働きやすさの面で好意的に受け取られる可能性がある
反対に、服装の基準を決める難しさや、人によって費用負担が増える問題も出てくるでしょう。
大切なのは、「制服は必要」「制服は不要」と、外から勝手に結論を出すことではありません。
実際に着ている人の意見を聞き、来客対応や安全性、費用、働きやすさなどを比べたうえで判断することです。
現実には、私に制服を廃止する権限はありません(笑)。
本当にただの思考実験です。
しかし、これも「当たり前には、どんな理由があるのか」と問い直す練習になります。
皆さんの会社にも、同じような習慣がないでしょうか。
その仕組みは、何のために始まったのか。
今も、その目的を果たしているのか。
ほかの方法に変えた場合、誰にどんなメリットと負担が生まれるのか。
この3つを考えるだけでも、普段とは違う角度から仕事を見ることができます。
営業でも「当たり前を疑う力」が武器になる
この考え方は、営業の仕事でも役立ちます。
「この商品は価格が高いから売れない」
「このお客様は昔からこのメーカーを使っているから変えない」
「うちの業界では、この売り方が普通だ」
こうした言葉を、そのまま事実として受け入れてしまえば、そこで思考は止まります。
本当に価格だけが理由なのか。
切り替える手間や失敗への不安が大きいのではないか。
商品の違いが伝わっていないだけではないか。
決裁する人と実際に使う人で、評価するポイントが違うのではないか。
「なぜ?」と問いを重ねることで、お客様自身も言葉にできていなかった課題が見えてくることがあります。
営業に必要なのは、すぐに答えを出す力だけではありません。
正しい答えに近づくための、よい問いを立てる力も必要です。
私にとって、その原点が『空想科学読本』でした。
まとめ|本が変えたのは、知識ではなく考える姿勢だった
中学生のころの私は、まさか一冊の本が、自分の人生にここまで影響を与えるとは思っていませんでした。
ただ、面白そうだと思って手に取っただけです。
しかし今振り返ると、私の思考の土台には、確かに『空想科学読本』があります。
当時の私は、この本から「科学」を学んだと思っていました。
大人になった今になって分かります。
本当に学んだのは、科学の知識だけではなく、「当たり前を疑い、理由を考え、自分なりに確かめる姿勢」でした。
物事を論理的に考えること。
結果の背景を探ること。
仮説を立て、確かめ、改善を繰り返すこと。
子どものころから続く商売の経験と、この本から学んだ思考法。その二つが組み合わさって、今の私の営業や仕事の進め方につながっているように感じます。
もし、自分の考え方を変えてくれる一冊を探している人がいたら、ぜひ本屋をのぞいてみてください。
人生を変える本との出会いは、案外、そんな何気ない場所に転がっているのかもしれません。
そして、皆さんにとっての「人生を変えた一冊」があれば、ぜひコメントで教えてください。
ではまた今度!だんだんな!



コメント